LINEシナリオ配信とは?基本を理解しよう
シナリオ配信って何?
LINEのシナリオ配信とは、単発のメッセージ配信ではなく、計画的に組み立てたストーリーで顧客との関係を深めていく配信手法のこと。
映画やドラマのように、筋道立てたストーリーを作って、読者(LINE友だち)の気持ちを少しずつ動かしていきます。
例えば、サプリメントを販売している企業なら:
1通目:「疲れやすさ、気になりませんか?」(共感・問題提起)
2通目:「疲労にはビタミンBが効果的」(知識提供・信頼関係構築)
3通目:「このサプリは吸収率が3倍。だから違いを実感できます」(体験談・解決策の提示)
4通目:「もっと詳しく知りたい方はこちら」(行動への誘導)
このように、いきなり商品を売り込むのではなく、
段階を踏んで相手の心を動かしていくのがシナリオ配信の本質です。

シナリオ配信の2つのメリット
シナリオ設計には、主に2つのメリットがあります。
- 手間をかけずに集客・販促が自動で回る
一度シナリオを作っておけば、ユーザーが友だち登録した日や商品を購入した日など、決めたタイミングで自動でメッセージが送られます。
スタッフが毎回手作業で対応する必要がなくなり、営業のタイミングを逃すこともありません。 - ユーザーに合わせた細かい対応ができる
ユーザーのアンケートへの回答や購入した商品などによって分類(タグ付け)を行います。
これにより、興味のあることや購入履歴に応じて、より適切な情報を届けられるようになります。

カスタマージャーニーとシナリオの関係
シナリオ設計では、顧客がどのような段階を経て購入に至るかを理解することが重要です。
これがカスタマージャーニーの考え方です。
設計図作成時にカスタマイズした自社の購買プロセスを使って、シナリオを組み立てていきましょう。

カスタマージャーニー別シナリオの4つの型
1. 友だち登録直後シナリオ
使用するタイミング: 認知→興味・関心→検討
友だち登録直後シナリオは、新しく友だちになってくれたユーザーに送る最初のメッセージシナリオです。
登録したばかりの時は、その企業やお店のことを一番知りたがっているタイミング。
この「熱い気持ち」が冷める前に、うまく関係を作ることができれば、
購入や問い合わせといった行動を起こしてもらいやすくなります。

シナリオ作りのコツ
- ウェルカムメッセージでLINE登録のメリットを明確に
はじめに「このアカウントを活用すると、どんな価値を得られるのか」を伝えることで、ユーザーの期待感を高めます。例えば「LINE限定で使える20%OFFクーポンを月2回配信」「予約が取りにくい人気メニューの空き情報をいち早くお届け」など、具体的なメリットを示しましょう。 - 約束した特典はすぐに渡す
「登録でクーポンプレゼント」などの告知をした場合、その特典を登録後すぐに配布しましょう。約束を守ることで信頼関係を築けます。受け取るために別ページでの手続きなど、追加のアクションを求めると離脱率が高まってしまいます。 - 顕在層を確実に捉える仕組みを用意
初回メッセージなど、早めの段階から商品ページや問い合わせフォームへの直接リンクを提示すると、意欲のあるユーザーがすぐに行動しやすくなります。また、リッチメニューにもリンクを用意しておくと、問い合わせや申し込みなど必要なアクションを素早く取れるため、購買意欲の高い層を確実に取り込めます。

2. 既存ユーザー向けシナリオ
使用するタイミング: 購入→継続・紹介段階
既に商品やサービスを購入済みの顧客向けに、情報提供やセールスを行うシナリオです。
LINEはそもそも、既存のお客様と継続的にやり取りができることが強みで、LTV向上に適したツール。ただ、新規の友だち獲得ばかりに目を向けがちで、せっかくの強みを活かしきれていないことがよくあります。
既存顧客向けの施策は新規獲得に比べて費用対効果が高く、LTV(顧客生涯価値)の向上に直結するので、ぜひ力を入れていきましょう。
具体的には、以下のようなシナリオがあります:
- 購入後フォローアップシナリオ(使い方説明、アフターケア情報など)
- リピート促進シナリオ(次回購入特典、定期購入案内など)
- アップセル・クロスセルシナリオ(上位プラン、関連商品の提案)
- 休眠客復活シナリオ(しばらく来店・購入がない人向け)
- VIP客向け特別シナリオ(優良顧客限定の案内)

シナリオ作りのコツ
- 必要な人にだけメッセージを送る
誕生日特典は誕生日月の人だけ、セール情報は該当商品に興味がある人だけなど、そのメッセージが必要な人に絞って配信します。関係のない情報が届くと、ユーザーのアカウントへの関心が下がってしまいます。 - シナリオの間隔と回数を反応を見ながら調整する
購入直後は関心が高いので複数回配信しても良いですが、時間が経つにつれて頻度を下げないと迷惑に感じられます。商品の使用サイクルや顧客の関心度に合わせて配信間隔を調整しましょう。 - ユーザーに何らかの反応を求める
「どちらが気になりますか?A or B」「使ってみた感想を一言で教えてください」など、読むだけで終わらせず、適度に何らかのアクションを促します。
一方的な情報発信ではなく、双方向のコミュニケーションを意識することでユーザーとの距離を縮められます。

3.キャンペーン用シナリオ
使用するタイミング: 検討→購入段階
期間限定セールや特別企画を実施する際に活用するシナリオです。
キャンペーンを成功させるには、開始前の予告から終了までを計画的に設計することが大切です。
例えば「明日からスタート!」で期待感を作り、開始後は「今なら20%OFF」でアピールし、終盤では「残り1日で終了」で緊急性を演出。
予告から始まって最後の締切まで、一連の流れでお客さんの気持ちを盛り上げていきます。
また、キャンペーンは新規ユーザー獲得に効果的ですが、参加者がキャンペーン終了と同時に離れてしまうことがよくあります。大事なのは、その場限りで終わらせずに、継続的な関係に発展させることです。

シナリオ作りのコツ
- 参加ハードルを下げる
複雑な応募条件や長いアンケートは参加率を下げてしまいます。
LINEの友だち登録だけで参加できるシンプルな設計にすることで、より多くの人に参加してもらえます。 - リマインドやカウントダウンで参加を促す
キャンペーン期間中は、締切のリマインドやカウントダウン、参加者数の報告などを配信。「残り2日」「あと50名で目標達成」といったメッセージで、まだ参加していない人の行動を促します。 - 継続参加を促す仕組みを作る
一度参加してくれたユーザーに「次回も参加したい」と思ってもらえるような仕組みを作ります。例えば「今回落選の方は次回キャンペーンで当選確率2倍」「毎月開催するので継続参加でプレミアム特典」など、単発で終わらせない工夫が重要です。

イベント・セミナー向けシナリオ
使用するタイミング: 検討→購入段階
イベントやセミナー開催時に活用するシナリオです。
どんなイベントにするかで目的もゴールも異なります。
まずどんな結果を求めているのかを明確にしましょう。
主な目的とゴール
- 商品販売促進 → 成約率の向上
- 見込み客獲得 → 連絡先収集・リスト拡大
- 既存顧客フォロー → 満足度向上・リピート促進
- ブランディング → 認知度アップ・信頼関係構築
目的が決まったら、参加者への事前案内、当日のサポート、そして事後フォローによる次のアクションへの誘導を設計します。

シナリオ作りのコツ
- 参加者のモチベーションを維持する配信設計
申込みから開催まで期間が空くほど、参加率は下がってしまいます。1週間前、3日前、前日など段階的にリマインドを送り、参加することで得られる価値を改めて伝えることで、当日の参加率を高めます。 - 当日は新規LINE登録の絶好機として活用
セミナー参加者は関心度が高い見込み客です。スライドにQRコードを表示して「資料はLINEで配布」「限定特典をLINEで案内」などの理由でその場でLINE登録を促しましょう。会場の熱量が高いうちに行うのがポイントです。 - 参加者の温度感が下がる前に次のアクションを提示
セミナー終了直後が最も購買意欲の高いタイミング。会場にいるその場でアンケートへの回答をお願いしたり、個別相談の申込みを促すなど、オフラインならではの熱量を活かしたアプローチが効果的です。LINEでのお礼メッセージと合わせて、次のステップへの誘導を当日中に完結させることで成約率が格段に上がります。

まとめ
上記の4つのシナリオは、 多くの業種で活用されている基本的な型です。
最初はすべてを完璧に作ろうとせず、自社のビジネスで最も重要だと思われる1つのパターンから始めることをおすすめします。例えば、新規客獲得が急務なら「友だち登録直後シナリオ」から、既存客のリピート率向上が課題なら「既存ユーザー向けシナリオ」から取り組むとよいでしょう。
一度基本的な形を作って運用を開始し、反応を見ながら改善を重ねることで、自社に最適なシナリオが完成していきます。

