LINE運用における『設計』とは?
LINE運用における『設計』とは、
達成したい目標から逆算して、LINE運用全体の流れを組むこと。
「逆算」とは、
最終的に欲しい結果から今やるべきことを決める考え方です。

思いつきで運用:
「LINEでクーポンを配信してみよう」
→なんとなく配信
逆算思考で運用:
「リピート率を80%にしたい」
→「だから来店後に次回予約を促す仕組みが必要」
→「来店タグで自動配信を設定しよう」
このように、ゴールから逆向きに考えて 必要な仕組みを決めていくのが逆算思考です。

下の図は、美容室のLINE設計図のサンプルです。

↑クリックすると拡大できます↑
この設計図を見ると、
友だち登録の経路やお客さんの状態によって
それぞれに適した配信シナリオが組まれていて、
すべてが来店やリピートにつながっていることが分かります。
この設計図も、逆算思考で作られています。
この美容室の場合:
【ゴール】
リピート率を80%にしたい
↓
【どうすれば?】
次回予約を忘れさせない仕組みが必要
↓
【LINEでは?】
来店後のリマインド配信と休眠顧客の掘り起こし
実際に設計図を見てみましょう:
まずは明確な目標を設定↓

来店後に次回予約をしてもらうシナリオ↓

さらに休眠顧客へのリマインドシナリオ↓

このように、 目標から逆向きに考えて必要な仕組みを洗い出し、
それを具体的なフローに落とし込んだものが設計図です。
こうした全体像を事前に描いておくことで、場当たり的ではなく、
すべての配信や施策が”目指す成果”につながる
戦略的なLINE運用ができるようになります。

ファネルモデルで見るLINEの活用設計
基本的なマーケティングファネル
逆算思考で設計図を作るためには、
まず「お客さんがどのような行動を取るか」を理解する必要があります。
ゴールから逆算するといっても、
お客さんの行動パターンが分からなければ、
どの段階でどんな施策を打てばいいか判断できないからです。
そこで重要になるのが「ファネルモデル」という考え方です。

お客さんは必ず、いくつかの段階を経て購入に至ります。
この流れを漏斗(ろうと)の形で表現したモデルを
「マーケティングファネル」と呼びます。
上から下に向かって顧客数は減少しますが、購入意欲は高まっていく構造です。

業種によって異なる顧客の行動パターン
一般的には「認知 → 興味 → 検討 → 購入 → リピート」という流れがよく使われますが、
それぞれのビジネスによって段階は異なります。
美容室の場合: 「認知 → 興味 → 検討 → 来店 → リピート」
ECサイトの場合: 「発見 → 比較 → 購入 → 評価 → 再購入」
学習塾の場合: 「認知 → 関心 → 体験 → 入会 → 継続」
この流れを明確にすることで、LINEをどの段階で活用すべきかが見えてきます。
なお、この顧客の行動プロセスは「カスタマージャーニー」とも呼ばれます。
マーケティングでよく使われる用語なので覚えておきましょう。
購入後も含めて考える「ダブルファネル」
従来のマーケティングは「来店(購入)して終わり」でした。
しかし、新規集客コストの高騰や競合激化により、
新しいお客さんを獲得し続けることが難しくなった現代では、
一度来てくれたお客さんに何度もリピートしてもらい、
さらにレビューやSNSでの拡散、友人紹介まで設計することが重要になっています。
このような購入後の段階も含めて考えるファネルを「ダブルファネル」と呼びます。
この設計により、顧客生涯価値(LTV)を大幅に向上させることができます。

顧客生涯価値(LTV:Life Time Value)とは、1人の顧客が生み出す総売上のこと。
美容室の場合、過去の顧客データから「平均購入単価5,000円×年間平均来店回数3回×平均継続年数2.5年」などで計算し、LTV37,500円といった数値を出します。
LINEマーケティングでは
認知から紹介まで幅広い段階を一つのツールでカバーできるのが大きな特徴。
しかし、これだけ多くのステップがあるからこそ、
事前に全体の流れを整理した「設計図」が欠かせないのです。

設計図を作る3つのメリット

1. LINEを導入する“目的”をはっきりさせるため
LINEを使って売上を伸ばしたい、リピート率を高めたい…など目標はさまざま。
でも、ゴールがあいまいだと配信内容もブレてしまいます。
設計図を作ることで、LINE運用の目的や目標を全員で共有しやすくなります。
2. 「誰に」「何を」届けるかを整理するため
設計図があれば、 どの層に、何を、いつ・どのタッチポイントで届けるのかをひと目で整理できるので、
配信の方向性やメニュー構成がブレにくくなります。
3. 何を改善すべきかを明確にするため
設計図を作ることで、どのシナリオが何の目的で設計されているかが明確になります。
これにより、運用開始後に「このシナリオは期待通りの効果が出ているか」「どの部分を改善すべきか」を判断しやすくなります。場当たり的な運用では得られない、体系的な改善ができるようになります。
実際の設計図事例
設計図作成に役立つツール
実際に設計図を作る際は、以下のようなツールを使うと効率的です。
視覚的な設計図作成ツール
- Miro: オンラインホワイトボードとして人気。 テンプレートも豊富で、チームでの共同編集も可能です。
https://miro.com/ja/ - Figma: デザインツールですが、フローチャートや設計図作成にも適しています。
Figma: コラボレーションインターフェースデザインツール
マインドマップ形式での整理
- MindMeister: ブラウザ上でも編集可能なマインドマップツールです。
MindMeister: Online Mind Mapping and Brainstorming - XMind: 高機能なマインドマップソフト。 無料版でも基本機能は十分使えます。
Xmind のマッピングソフトウェア
どれを選ぶべき?
- チームで共有する場合:Miro、MindMeister
- 一人で整理から始める場合:XMind
- デザイン性も重視する場合:Figma
まずは無料版から始めて、使い勝手を確認してから有料版を検討するのがおすすめです。
まとめ
「設計図」とは、ファネルを逆算しながら、
LINE上のメッセージやメニュー構成を含めた全体の流れを可視化するための地図のようなもの。
設計図を作ることで、LINE運用の目的がはっきりし、
「誰に」「何を」届けるかが整理され、計画的な改善ができるようになります。
次のセクションからは、実際に設計図を作るための具体的な手順を解説していきます。
WORK
設計図作成に向けて、以下を整理しておきましょう。
・あなたのビジネスの顧客行動パターン(認知→購入→リピートの流れ)
・なぜLINE運用をするのか(何を解決したいのか、どんな成果を期待するのか)

