日本でほとんどの人が使っているLINEを
集客・販売促進・リピート獲得に活用することをLINEマーケティングと呼びます。
かつては「一斉にクーポンやお知らせを配信するだけ」だったLINEも、
いまではユーザーの行動や属性に合わせた
“個別最適なコミュニケーション”を取れるようになっています。
LINE活用の変遷:ただの通知から「つながりの設計」へ
初期:マスマーケティングの時代
企業のLINE公式アカウントが登場(2011年前後)
「LINEプロモーションスタンプ」で友だちを一気に集めて、 キャンペーン告知やクーポン配信、イベント情報を メルマガ感覚で一斉送信するのが主流でした。
多機能化:ダイレクトマーケティングの時代
公式機能の進化
- 2016 年:リッチメニュー
トーク画面下部に常設ボタンを置けるようになり、 クーポン表示・EC 連携・予約導線などがワンタップで可能に。 - 2017 年:Messaging APIの公開
チャットボット、自動応答、外部システム連携、 データ取得など幅広い機能開発が可能に。 ただし、開発者向け機能のため コーディングができるプログラマーでないと使えませんでした。
拡張ツールの普及
標準機能をさらに使いやすくする拡張ツールが 2018 年以降に続々登場。
代表格のLステップは、タグ管理やメッセージ分岐を画面操作だけで設定でき、友だちの属性に合わせたアプローチが簡単に行えます。

こうしたツールにより、専門知識がなくても「一人ひとりに最適なメッセージを自動で送り分け」ができるようになり、LINE運用の幅が大きく広がりました。
現在:LTVマーケティングの加速
広告費高騰や新規獲得競争の激化により、 「一度の購入で終わり」ではなく「長期的な関係構築による売上最大化」が重要に。 LINEは単発のキャンペーン配信から、お客様との継続的な関係づくりを支援するプラットフォームへと進化しています。
CONNECT ONE 構想:出会う → つながる → 続く
LINE 社は「友だち追加」で取得できる ID を核に、 「出会いから関係を築き、継続的なコミュニケーションへつなげていく」流れを、 LINEの中で一貫して実現できるようにするビジョンを打ち出しています。

- 出会う
- 店頭や商品の NFC タグ〈LINE Touch〉にスマホをかざすだけで 友だち追加やミニアプリ起動が完了。
- プロモーション絵文字や限定スタンプで、リスト獲得が進む。
- つながる
- Business Profileが “店舗サイト化” し、予約・問い合わせ・決済を LINE 内で完結。ユーザー属性や購買履歴に応じて表示内容を自動で出し分け。
- チャット Pro オプションが顧客カルテ共有と担当引き継ぎを簡単にし、 有人チャットの質を保ちながら応対工数を削減。
- 続く
- LINE ミニアプリの月間利用者は 1,400 万人(2025 年春)。 2025 年夏にはカード決済が正式解禁予定で、チャット接客型 EC が「閲覧→相談→購入」を LINE だけで完結。
- 生成 AI(ChatGPT 連携)が配信文の下書きやタグ付与を自動化し、 スタッフは企画やクリエイティブに専念できる。
- データ統合と最適化
- Business Manager Insightsにより、LINE と Yahoo! 広告のデータを一元管理。 広告・タグ・ステップ配信の結果を同じダッシュボードで最適化でき、LTV 向上と広告費圧縮を同時に実現。
このビジョンを踏まえて、LINEが今後さらに追加していく機能やサービスにも目を向けておきましょう。
すでにLステップなどのツールを活用している場合でも、LINEの進化と組み合わせることで、マーケティングの展開や施策の幅を広げていけます。
なぜLINEをマーケティング活用する価値が高いのか
- 多くの人に確実に届けられる
幅広い世代が日常的に使っていて、通知が届きやすく開封率も高い。 - 関係構築を一つの場で完結できる
知ってもらう・興味を持ってもらう・購入・再来店まで、すべてLINE上でつなげられる。 - リアルとデジタルを自然につなげられる
オンラインの案内と、店頭での接点や利用履歴をひとつながりで扱いやすい。 - 一人ひとりに合わせた対応がしやすい
メッセージを出し分けたり、必要に応じて人が対応したりと、柔軟に使い分けができる。
今後の展望
1. AI活用がより身近な選択肢になっていく
最近は、大手企業を中心に、チャットボットやレコメンドなど AI を活用した取り組みが進みつつあります。

一方で、中小企業や個人事業では、検討を始めたばかりのところもあれば、
まだ具体的な動きがないところもあり、現状には幅があります。
ただ、文章の下書きや画像の作成といった作業支援の領域では、活用のしやすさが増しており、
こうした比較的取り組みやすい用途から、AI を活用する企業が広がっていくと考えられます。
2. LINEを「売る場所」として活かす動きが本格化していく
オンライン購入のハードルが下がるなかで、LINEを使った購買体験にも注目が集まっています。
ミニアプリや外部EC連携を使えば、商品の案内・相談・購入までがLINE内で完結し、アプリの切り替えやサイト離脱を防げます。

すでに「接客型EC」として、LINE上で疑問に答えながら購入へつなげる事例も増えており、これまでの“問い合わせ対応の場”から、“売上をつくるチャネル”への転換が進んでいます。
