ストーリーシナリオ(ヒーローズジャーニー)の活用法

ヒーローズジャーニーとは、もともと神話や映画で使われてきた“主人公が旅立ち、困難を乗り越え、成長を遂げる”という物語構造。 この構造には、人々の心を揺さぶり共感を引き出す大きな力があります。

そのため、芸能人や著名人、専門家、企業・ブランドなどが応用することで、物語を通じてファンや顧客との心理的距離を縮めやすくなります。

ヒーローズジャーニーとは

ヒーローズジャーニーは、物語によく見られる「主人公が旅立ち、困難を乗り越え、成長と成功を手にする」という構造を示す考え方です。もともとは神話や映画などで語り継がれてきたストーリーテンプレートですが、ビジネスにおいても人々の心を動かす強いエンゲージメントを生み出すツールとして活用されています。

  • 感情移入を起こしやすい 苦労や葛藤、仲間の支えなど、共感を呼ぶ要素が含まれるため、読者や視聴者が“物語の中の主人公”に自分を重ねやすくなります。
  • 商品の枠を超えた自己ブランディング なぜ今の仕事を始めたのか、どんな苦労を乗り越えてきたのかを具体的に伝えることで、人間的な魅力が伝わりやすくなります。

施策の概要と特徴

なぜ“インフルエンサー的”なビジネスに向いているのか

以下では「インフルエンサー的ビジネス」を例に挙げていますが、芸能人・著名人、専門家集団、企業のチームなど“ファンや支持者を抱える組織・個人”であれば同様に効果を発揮します。

  1. ファンとの強い結びつきを生みやすい
    単にモノやサービスを売るのではなく、“その人自身”がブランドになる場合、背景や想いがより重要視されます。ヒーローズジャーニーを通じて歩んできた道のりを共有することで、「この人を応援したい」と感じるファンを増やしやすくなります。
  2. 人柄・世界観の差別化
    多くのインフルエンサーが発信力や商品紹介を行うなか、「自分ならではの苦労や価値観」を物語として伝えることで、“唯一無二”の立ち位置を築きやすくなります。
  3. 多様な場面で展開可能
    登録直後の導線だけでなく、イベントや新プロジェクトの舞台裏紹介など、さまざまなシチュエーションで「物語」として公開し、ファンとの交流を深めることができます。

一般的なセールスとの違い

  • 押しつけ感が少ない
    ストーリーを読むという自然な流れを作るため、“売り込み”という印象を与えづらく、ファンが楽しみながら理解を深められます。
  • ユーザーの参加意識を高める
    ヒーローズジャーニーの結末や学びを共有すると、ファンは自分自身の経験や価値観を振り返るきっかけになり、そこから応援や共感、メッセージ送付などのアクションが生まれやすくなります。

活用シーン

1. 登録直後の導線として

  • ストーリー分割配信 新規登録してくれたユーザーに、短いステップで少しずつストーリーを送り、最後に「感想を教えてください」などのメッセージを添えることで、双方向のやり取りが生まれます。
  • ファン化のスピードを高める “なぜこの活動をしているのか”“どんなビジョンがあるのか”を効果的に伝えるため、新規ユーザーの応援意識を一気に引き上げることが可能です。

2. イベントやキャンペーンとして

  • 特別エピソードの公開 オンラインイベントやセミナーで、裏話や苦労談を交えたヒーローズジャーニーを披露すると、視聴者の没入感が高まります。
  • ファン参加型の企画 物語に触れたファンから、感想や質問を募集するコーナーを設けることで、コミュニティが活性化しやすくなります。

3. 新プロジェクトや商品リリースの背景紹介

  • プロジェクト誕生ストーリー 「このサービスを作るまでにどんな困難があったのか」「どんな未来を実現したいのか」をヒーローズジャーニー形式でまとめると、興味を持ってくれるファンが増えやすくなります。
  • メンバー紹介 開発チームやスタッフがどのように成長してきたか、苦楽を共有することで共感や支持を獲得できます。
    • LINEシナリオ例:商品リリースにあわせて、開発秘話をストーリー形式で配信。「開発者の想い」などを数回に分けて伝え、感想や質問を受け付けるフローを組み込む。

実装のステップ

ステップ1.過去の振り返りと“感情の可視化”

  1. まずは書き起こす
    • これまでのビジネスや商品開発の経緯、試行錯誤や転機となった出来事を時系列で整理する。
    • キーワードだけでもよいので、思いついたことを箇条書きでどんどん書き出す。
  2. 感情のグラフ化
    • 上記の出来事を振り返りながら、「不安」「ワクワク」「挫折」「喜び」など、自分の感情がどのように上下したかをグラフにプロットする。
    • 特に大きく感情が動いたポイント(困難を乗り越えた瞬間、成功のきっかけなど)を意識して、物語の“山場”を見つける。
  3. “主人公”を明確にする
    • 多くの場合は自分自身が主人公となるが、チームや共同開発者がいる場合は“チーム全体”を主人公として扱うケースもある。
    • 誰の物語が最も共感を呼ぶのか、視点を定めておく。

ステップ2.ヒーローズジャーニーの要素に落とし込む

  1. 時系列と感情のグラフを照らし合わせる
    • 「旅立ち」「試練と失敗」「仲間との出会い」「成功・成長」など、一般的なヒーローズジャーニーの流れと、自分のビジネスや商品開発の過程を対応させる。
    • どのポイントが“転機”として最も印象的か整理し、ストーリーの骨組みを組み立てる。
  2. エピソードを肉付けする
    • 感情のピークや“どん底”になった瞬間の具体的な出来事を、少し詳しく描く。
    • 読み手がイメージしやすいよう、数字やちょっとした逸話などを交えると効果的。
  3. 余分な部分は省く
    • 全部を詰め込みすぎると読みにくくなるので、「このエピソードはストーリーを魅力的にするか?」という観点で取捨選択する。

ステップ3.シナリオ配信や読者参加をデザインする

  1. LINE公式アカウントへの落とし込み
    • 登録直後シナリオやキャンペーンシナリオに組み込み、数回に分けて“物語”を配信する方法が定番。
    • 1回で長文を送るより、数日かけてストーリーを小出しにすると続きが気になってもらいやすい。
  2. 読者参加の仕掛けを設計
    • 物語の節目ごとに「この場面、あなたはどう感じますか?」など質問を投げかけ、感想や共感ポイントを返信してもらう。
    • アンケート機能や簡易フォームを使って、読者が自分の経験を振り返るきっかけをつくるとエンゲージメントが高まりやすい。
  3. 写真や動画を盛り込み、多感覚で伝える
    • テキストだけでは伝わりにくい場面は、写真や動画、音声を取り入れて臨場感を演出する。
    • 自分自身の声や表情が見えると、読み手(視聴者)の共感度がさらに上がる。

期待できる効果

  • ファンのロイヤルティ向上
    ストーリーを共有することで「もっと応援したい」と感じる心理が強まります。
  • 感情の再確認
    ファンが「なぜ好きなのか」を言葉にする機会になり、自分の想いを再認識することで愛着がさらに深まります。
  • 返信から得られるヒントを次の施策に活かせる
    ヒーローズジャーニーを読んだファンからの感想や応援メッセージを通じて、「どこに共感しているか」「何を期待しているか」が可視化。これにより、新たな企画やコンテンツ開発の方向性を見出しやすくなります。

まとめ

ヒーローズジャーニーをマーケティングに取り入れるメリットは、単なる販売促進以上に、“人と人”のつながりを強くする点にあります。

  • まずは自分の過去と感情の変化を書き起こすところから始める。
  • 感情グラフをヒントにストーリーの山場を明確化し、ヒーローズジャーニーに沿って再構成する。
  • LINE公式アカウントのステップ配信や読者参加型の仕掛けを組み込み、物語への共感や応援を高める。
  • ユーザーからのフィードバックを活かし、アップデートし続けることで、ファンとの結びつきがより強固なものになる。

ヒーローズジャーニーの手法をぜひ活用し、ブランドやサービスの魅力を最大限に引き出してみてください。